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海での死者0を目指す「ヨビモリ」

2020.07.01

本プログラムで採択されたヨビモリ

 操業中の海中転落事故などから漁師を守ろうと、九州大学の学生たちが、首から下げる携帯型通信機を使った新たな通報システムの開発に取り組んでいる。主導するのは、漁船転覆事故で祖父を亡くした北海道出身の九大大学院1年、千葉佳祐さん(24)。「海で亡くなる人を少しでも減らし、本人も家族も守りたい」と、来年の事業化を目指す。
 漁師だった千葉さんの祖父は44年前、北海道羅臼町沖で遭難し、帰らぬ人となった。一家の大黒柱を突然失った祖母と母は長年、貧しい暮らしを強いられた。その話を聞いて育った千葉さんは、遭難直後に迅速に救助が始められるシステムをつくれば「女手一つで母を育ててくれた祖母への恩返しにもなる」と考え、友人で九大芸術工学部3年の成田浩規さん(22)らと開発に乗り出した。

周囲が事故をすぐに認知することが困難

代表の千葉さんは以下のように語っています。

『「nanoFreaks(ナノフリークス)」は、海難事故から家族を守るサービス「 yobimori(よびもり)」を開発中の、九州大学発のスタートアップです。
海上での事故による死亡者は後を絶たず、特に漁船から海中転落した人の死亡率は約7割といわれています。漁師は一人で漁を行うことが多い上に、事故に遭ってもそれを知らせる手段が乏しいので、周囲が事故をすぐに認知することが困難です。 そのため、事故が起きてもすぐに救助が始まらないことが大きな課題となっています。漁師が海上からすぐに助けを呼べるようにすることで、捜索開始までの時間短縮と迅速な救助につながるのではと考えました。』

危険な職業の一つ

実際、海上での事故による死亡者は後を絶ちません。海上保安庁の調査によると 2016年から 3 年間の海上での死亡事故件数は 3167件1)にも上ります。特に沿岸漁業の漁師には危険が伴い、漁船から海中転落した人の死亡率は5年間の平均で 68%となっています (図1)。

 その要因として海での事故認知の難しさがあります。沿岸漁業の漁師は一人で漁を行うことが多い上に、事故当事者が SOS を発信する手段も乏しいため、周囲が事故を認知することは困難になっています。 漁船からの海中への転落において、約35%が事故認知までに 2 時間以上2)も要しており、最も遅いケースでは 12 時間3) も経過してしまっています。つまり、事故が起きてもすぐに救助が始まらないのが現状です。

サービスとこれから

 yobimori は瞬時に救助が呼べるおまもり型デバイスと、救助を効率化するアプリによって構成されるサービスです。

 漁に出るユーザ(事故当事者)は yobimori デバイスを身体に装着します。yobimori デバイスは転落や事故等の緊急時であっても、事故当事者が簡単に起動することが可能な設計となっています。起動すると即座に一番近くの船や家族、救助機関へと SOS 信号が送信され事故当事者の位置情報が共有されます。加えて、yobimori アプリによって救助従事者に対し、事故当事者の漂流予測や救助状況などをわかりやすく可視化した情報を提供することで、救助効率を大幅に改善します。

会社名:株式会社nanoFreaks
所在地:福岡県福岡市中央区舞鶴1-9-3朝日プラザ天神 1204号
代表者名:千葉佳祐(ちばけいすけ)
ホームページ:https://nanofreaks.jp/