2025年前期の朝ドラ『あんぱん』は、いよいよ第11週へ突入。タイトルは「軍隊は大きらい、だけど」。
物語は、戦地へと送り出された柳井崇の過酷な軍隊生活を通じて描かれる“戦争に翻弄される若者たち”の姿を浮き彫りにします。
第11週は、主人公の一人である崇が、軍隊の中でいかにして心をすり減らしながらも、自らの信念と矜持を守ろうとするのか。ネタバレにご注意ください
あんぱん|第11週のネタバレとあらすじ
あんぱん第51話|連隊生活の洗礼と八木との出会い
1942年、小倉の連隊に配属された崇は、新たな環境に慣れようと内務班で荷物を整理していたところ、詩集を所持していたことが古参兵に咎められます。理不尽な連帯責任で、同じ初年兵たちとともに暴力を受けそうになりますが、そこへ現れたのが八木信之介という上等兵。静かながらも圧のある一言で、場を収めます。
この八木との出会いが、崇にとって軍隊の中で唯一“信じられる存在”となっていくのです。八木は崇に「軍人勅諭」を暗記するよう命じ、これが後の展開に繋がっていきます。
あんぱん第52話|勅諭を覚えよ、そして試される瞬間
初年兵4人が古参兵に無実の罪を着せられ、再び鉄拳制裁が下されそうになります。そこにまた八木が登場し、崇を連れ出して「軍人勅諭を完璧に覚えろ」と厳命します。
そして三か月後、中隊長が突然内務班を訪れ、崇に勅諭の暗唱を求めます。崇は緊張しながらも、落ち着いてすらすらと読み上げ、中隊長にその姿勢を評価されます。結果、崇は幹部候補生試験の受験を命じられることに。
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あんぱん第53話|逃げ道のない試験と出世の代償
幹部候補生試験を受けることになった崇。使役や雑務から解放され、勉強に集中できる一方で、「不合格なら容赦はしない」という古参兵たちの無言の圧力が重くのしかかります。
崇は学科では好成績を収めるものの、試験前夜の当番中に眠ってしまったことが響き、「甲種」ではなく「乙種」での合格となります。
士官にはなれなかったものの、これを機に崇は一兵卒から下士官へと進級。軍隊内での扱いも大きく変わり、ようやく暴力の恐怖から解放される一歩を踏み出します。
あんぱん第54話|佐世保での再会、千尋の決意
1944年、崇は伍長に昇進。そんな彼のもとに、弟・千尋から便りが届きます。差出人の肩書きは「海軍少尉」。兄弟は佐世保で再会し、束の間の時間を過ごします。
千尋は数日後、駆逐艦に乗り太平洋戦線に向かう予定だと告げます。任務は対潜作戦。千尋は「もし生きて帰れたら、のぶと一緒になる」と、未来への希望を口にします。
短い時間ながらも、兄弟はそれぞれの道で生き抜くことを誓い合い、別れを迎えます。
あんぱん第55話|八木の言葉と、戦場への覚悟
崇が所属する部隊にも、ついに出動命令が下ります。その前夜、崇はこれまで何度も自分を救ってくれた八木に「なぜ助けてくれたのか」と尋ねます。
八木は、崇が持っていた詩集に心を引かれ、自分と同じ“異質な存在”だと感じていたと語ります。そして、理不尽な軍隊の中でも生き抜けるように、勅諭の暗記や推薦など、あらゆる方法で崇を守ってきたのです。
しかし八木は最後にこう釘を刺します。
「出世しても、それで生き残れるとは限らない。ときには卑怯者になる覚悟が必要だ」。
戦場という現実に、崇は真正面から向き合うことになります。
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あんぱん|第11週あらすじ解説
あんぱん柳井崇の物語には、実在した人物やなせたかしの実体験が色濃く反映されています。
やなせたかしさんは、小倉の野戦重砲隊に配属され、兵卒から下士官へと進級。試験直前に不寝番中に居眠りしてしまったことで、士官候補から外れたというエピソードは、まさに崇と重なります。
著作『アンパンマンの遺書』には、理不尽で非人道的な軍隊の中でも、自分らしさを見失わずに生きる苦悩と、それでも「正義とはなにか」を問い続けた青年の姿が綴られています。
弟・千尋の海軍入隊とその背景
あんぱん第11週では、弟・千尋が海軍少尉として駆逐艦に乗艦し、命がけの任務に就くことが明らかになります。
この設定には、やなせたかしの実弟・柳瀬千尋中尉の実話が反映されています。柳瀬千尋は京都帝国大学を繰り上げ卒業し、海軍予備学生として海兵団に入団。その後、駆逐艦「呉竹」の分隊士としてバシー海峡などの最前線で任務にあたりました。
「慟哭の海峡」や関連資料にも、その過酷な任務と最期が詳しく語られています。
生き延びるという選択
あんぱん第11週「軍隊は大きらい、だけど」では、理不尽さと孤独が支配する軍隊の中で、それでも信じ合える誰かがいて、自分の矜持を捨てずに生きようとする人々の姿が描かれます。
崇にとっての八木、千尋にとっての未来、そしてそれぞれの戦場に向かう覚悟。戦争はただの背景ではなく、登場人物たちの生き方そのものに影響を与えています。
「生きること」と「死なないこと」は同じではない。そんな問いを投げかけてくる、濃密な一週間となりそうですね。
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